ちょっとしょんぼりしてみること

僕は対戦相手が好きだ。僕にとってどんな試合でもお互いに全力をつくして
戦う相手はいいゲームを作り上げる好敵手。その相手は強ければ強いほど
いいと思っている。なぜなら相手が強いほどいい試合になる可能性が高い
し『明日つよくなるため』の自分に大きくプラスになるから。
PTQ大阪-仙台の対NAC氏、GP広島での対黒田氏、PTQニューオーリンズ
-埼玉での対杉木氏は僕の今までやってきた中でたぶんずっと記憶に残る
印象的な勝負。こういう勝負は思い返すたびにファイトがわきあがってくる。
良いゲームができるとマジックを続ける気力も大きく上昇するし、やる気も
出てくる。
対戦終了後にはお互いに健闘をたたえ、いろいろ話して勉強をしたい。そ
ういう気持ちがあるから知合いが増えていったしそれを拒まなかったしね。

先日ちょっとした折に『この辺のマジックプレイヤーのまとめ役』なんていう
話をされてびっくりすることしきり。僕からすればそんなつもりはさらさらなか
ったし、実力も満足にないから名前ばかり先行している現状はイヤだったん
だけれど、なんでそんなことになってしまったんだろうと思う。
仕事関係でそういう役回りだから趣味のマジックくらいはそういう事は一切
なしで『普通にがんばっているおじさん』で若者や子供たちと対等な立場で
楽しもうと思っていたのに。
こんなことじゃマジックやってるのも仕事と同じになってしまうよ。どっちでも
同じ事を期待されてるんじゃストレスのヘッジにならない、これには本当に
参ってしまった。どこにも『頼りたい』人はいて、自立している大人が少ない
現状からそういう事になるのかなあ、がっかり。

その弊害だかなんだかで近頃むやみやたらにギャラリーがつく。
で、そのギャラリーがみんな僕がミスしないかドキドキハラハラして見てる訳
期待通りミス連発する僕も悪いけれど、そんなに頼りなく思われているのも
なんだかなあとおもうし、正直困ったりする。対戦中によくギャラリーを観察
していると対戦相手の手札の推測がついちゃうとか、後ろから離れていく気
配があると『ああ、もう詰まっちゃってるのか』と思ったりするから僕の思う
『いい試合』になりにくかったりする。気にしてくれるのはありがたいけれど、
ありがた迷惑でもあるなあと思う。

その上でマジックプレイヤーの常なのかいつもそうなんだけど『ありえない』
って僕に対して怒り始める。教えるつもりがあるなら、順序だててしっかり
理性的に教えてほしい。一番腹ただしいのは社会生活で自信のなさそうな
人ほど僕に『怒る』こと。年齢的に目上の僕を怒ることによって自分のプライ
ドとか精神の安定を保つのは勘弁してほしいな。
趣味のかかわりでノーリスクな関係だから黙って聞いているけれどストレス
を感じていないわけではないから。
なんだか広木さんをはじめあたりのやわらかい人たちががどんどんマジック
をやめてしまった気持ちがわかるような気がする。